KEKenji Emura

なぜマスコットは、帯で締められただるまなのか

だるま締(Shimaru)の由来ブランド

アイコンを見て「なんで赤くて丸いやつが帯で締められてるの?」と 思った方へ。ごもっともです。種明かしをすると、名前とマスコットで ひとつの言葉遊びを2回やっているだけ。そしてその裏には、250年前か ら日本人が「決めたことをやり遂げる」ために使ってきた道具がありま す。

締(Shimaru)のマスコット:帯でぎゅっと締められた赤いだるま

「締まる」って、そういうこと

**「締まる」**は、いいことばかり引き受けてくれる動詞です。体が締 まる。帯が締まる。だらけた生活が締まって、気が引き締まる。

実は海外のフィットネス界隈にも、ほぼ同じ言葉があります。 **「ロックイン(lock in)」**です。毎年秋になるとTikTokで「ウィン ターアーク」や「グレート・ロックイン」として流行る、あれです。習 慣をいくつか決めて、やり抜いて、1月には別人になる。日本語は何百 年も前から、それを動詞ひとつで言えていたわけです。正直、アプリの 名前は勝手に決まりました。

だるまは、日本生まれの目標達成ガジェット

マスコットはだるま。初詣の縁起物売り場やだるま市、選挙事務所 のニュース映像でおなじみの、あの丸くて赤い、ちょっと強面の置物で す。モデルは約1500年前に禅宗を開いた達磨大師。

この人の伝説がなかなかすごい。面壁九年。壁に向かって9年間座 禅を続け、手足が萎えてなくなってしまったと伝わります。だからだる まには手足がありません。しかも座禅中にうっかり居眠りしたのを悔や んで、二度と眠らないようにまぶたを切り落としたとか。その覚悟には 脱帽ですが、こちらの方法なら腕立て数回で済みます。

置物のだるまが生まれたのは18世紀、高崎のあたり。少林山達磨寺が農 家に張り子のだるま作りを教えて、縁起物として売られるようになりま した。最初のファンは養蚕農家でした。蚕は何度も起き上がりながら育 つ縁起のいい虫で、だるまも起き上がる。高崎は今でも日本一のだるま の産地です。

片目を入れて、もう片目を勝ち取る

ここが一番好きなところです。だるまは両目とも白いまま売られて います。目標をひとつ決めたら、片目を入れる。あとは達成するまで、 棚の上から片目でじーっと見られ続けます。もう片方の目を入れられる のは、やり遂げた人だけ。

つまり、項目がひとつしかない、顔のついたTo-Doリスト。アプリも通 知もなかった時代の、「やったかどうか知ってる」小さな赤い証人です。

どちらの目から入れる?

地域や流派によって違うのですが、多くは向かって右、つまりだるまの左目からだそうです。締(Shimaru)なら迷わなくて大丈夫。決意は1回目からカウントされます。

締(Shimaru)も同じ作りです。種目ごとに目標はひとつ。目標と時刻 を決めたら、あとはカメラが回数を数えるだけ。もう片方の目が、 なあなあで入ることはありません。

何度でも起き上がる

だるまの底には重りが入っていて、倒してもころんと起き上がります。 七転び八起きとセットで語られるのはそのためです。

連続記録の考え方も同じです。1日逃しても、そこで終わりではありま せん。どうしても無理な日はシールドが1回分を守ってくれるし、休暇 は一時停止でOK。目指すのは「絶対に倒れないこと」じゃなくて、「倒 れても必ず上を向いて終わる丸さ」です。

『イカゲーム』のあの遊びも、だるま

「ムクゲの花が咲きました」で世界中が凍りついたあの遊びは、日本の 「だるまさんがころんだ」が原型ですよね。そう、あの遊びの名前には、 ずっとうちのマスコットがいました。だるまは昔から、世界一ぞくっと する子どもの遊びの仕切り役だったのです。

ロックインを発明したのは日本

年が明けると、だるまをお寺に納めて、感謝とともにお焚き上げしても らう。達成できていてもいなくても、次はもっと大きな目標のために、 もっと大きなだるまを買う。まっさらな目と新しい決意を、毎年。 ウィンターアークは新発明ではありません。昔は張り子でできていた、 というだけ。

締(Shimaru)は、その儀式をポケットに入れたものです。種目ごとにひと つの目標、決めた時刻の正直な1セット、そしてあなたが起き上がる回 数だけ一緒に起き上がる、丸くて赤いコーチ。朝6時にだるまが実際に 何をさせるのかは、 運動しないと止まらないアラームの記事 をどうぞ。